内省がもたらす自己肯定

ここ10年くらいか、自己肯定とか自己肯定感、自己受容、ありのままを受け入れるなどの言葉を度々耳にするようになりました。

言われていることは分かる、しかしどういう風に自己を肯定するのかまではあまり示されていないことも多く、自分という存在をどのように認めれば良いのかなどは漠然としていて、何をどうしたら良いのか分からないという意見も多いことと思います。

ここでは僕が有効だと思っているある方法を端的にお伝えしたいと思います。

それは、タイトルにもなっているように、内省するということ。

自分の悪い点、改めるべき点、後悔しているような行いなどについて自分の中だけで反省するということです。

なぜ自己を肯定しようというのに、自身の過失を反省するという真逆のアプローチをとるのか?

それは自身の行いや悪い考え方などを嘘偽りなく反省し切ることによって、それに反発する思考も生まれてくるからです。

みなさんも他人に腹が立ち、その人たちについて猛烈に批判を繰り広げたことがあると思いますが、その批判を一度思いきり言葉や文章にすることによって、

「でもその人にも良い部分があるんだよなぁ」

と、相手への批判の手を緩め逆に相手を擁護する感情が芽生えるといった経験をしたことがあると思います。

「でも本当はこういう良い面もあるんだよね。。」

といった批判したことを後悔するような感情が生まれることが。

それを自身に当てはめて行おうということです。

人間には他人の意見に反発したいという願望が少なからず宿っていて、他を否定することで自分を重要と感じたがる性質が誰にでも備わっています。

そういった自発的に起こる人間の感情を利用し、内省から ”否定に反発する肯定” を誘発させようというプロセスというのが、今回お伝えしている方法なのです。

自身を見つめ、自分が欠点と感じている悪い面を反省し膿を出し切ります。

そして、自然に生まれた自己否定への感情に対する反発から、自身の良い面も客観的に挙げていきます。

そうすることで、自身の良い面と悪い面をありのまま客観視することが可能になり、自分という存在の良い面と悪い面をそっくりそのまま受け入れる “準備” が出来ます。

良い面だけを見てフォーカスするのでは、現実を把握していない間違った認識で事実を歪曲している状態が生み出されます。

上述した人間の心理から、良い面を否定した自己否定的な感情がくすぶり自身の悪い面に蓋をしたまやかしの自己肯定が内在化しはじめます。

つまり大事なのは先に内省するということ。

先に内省することによりより広い視野で自身や物事を見つめることが出来るようになり、さらには直感を養えるという恩恵に授かることも可能です。

なぜなら広い視野や正しい直感というものは、バイアスという ”視点や判断の歪み” を是正することで養われ、そのバイアスの原因ともなっている自我は内省することで静かに大人しくなっていくからです。

自我という存在は感謝を知らず、自惚れが強く、”自分は決して悪くない” というとんでもない性格を持っているのですが、自我はその存在自体が生きていることを意味するため自我自体をなくすことは出来ません。

このエゴという自我を大人しくさせてやり、自惚れと”自分は決して悪くない” という思いあがりを挫いてやろうというのが内省なのです。

そしてもう一つ有効なのが、感謝するということ。

自我のもう一つの特徴である ”感謝しない” という性格への対処は、単純に感謝するということです。

自身の失敗や過失を認め謝れる人、他人に感謝を忘れない人にエゴイスティックな人がいないのはもっともなことなのです。

そしてそういう人たちはみんな自己肯定感が強い。

日々内省し心から感謝することが、エゴが持っている最大の短所を静かに大人しくさせる一番有効的な方法であるからです。

以上、人間を強く成熟した存在にすることが出来る一番の近道の一つが内省と感謝という行為なのではないかとふと思ったのでした。

ではまた。

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