過去は振り返った方が良いという話

過去は振り返るなと言うけれど。

温故知新という言葉もあるように、過去を思い起こすことにはそれ相当の価値があるのではないかということ。

例えばブレインストーミングといった言葉が広く浸透しつつありますが、過去のある時点で思いついたアイディアを今の自分が吟味し荒削りをする。

それを未来の自分がさらに洗練されたものへと磨き上げると、時間を利用したセルフブレインストーミングなるものが完成します。

失敗にしてもそう。

最近では、失敗は挑戦している間は失敗じゃないとか、諦めたら失敗とか、ある種言葉遊びのような文言が流行していますが、そういった失敗の定義はどちらかというとどうでも良くて、何かを成し遂げようと思えば過去の間違った経験などを直視しないでは前に進めないというのもまた事実。

必要以上にポジティブ思考を推奨するような考え方が横行し、『過去』『現在』『未来』では、『現在』が一番大事といったような時間軸の選択を無意味に迫るような流れが出来上がっていますが、過去現在未来にはそれぞれ役割があって、その全てがバランスを持って均一に存在していることが大事だと感じています。

「私と仕事どっちが大事なの?」という質問に似ています。

どちらも大事で、走っている自転車の両輪のような関係とでも言いますか。

全てはバランス。。

(そして僕はこの質問への正しい答えがいまだに分からない。分かる方、コメントで教えてください笑)

過度にポジティブに未来を考え、自分を過信することへの弊害は無視されがち。

一度上手くいけばそのやり方に固執するあまり、時間の流れによる変化に対応出来なくなって行くのも未来と自分への過信が招くことなのではないでしょうか。

僕もそういった失敗はたくさんしている。

そして、危険を察知するような無意識の潜在的な予測も過去の経験から来ています。

危険回避は言わば、過去を見ているのと同義。

現実的に過去に起こったネガティブなことを思い出し、未来へのネガティヴィティを想像をすることにはトラブル回避を促す側面もあり、一様にポジティブが良いネガティブが悪い、過去未来より『今』が一番大事といった、バランスを欠いた短絡的な考え方の方が危険だったりします。

過去は存在しないから重要ではないと言われますが、今という瞬間も未来という瞬間もいずれ無くなります。

(記憶と二進数には残る)

どの時間軸に焦点を当てるかは、その時々で違うはずですし、違うべきなのです。

過去は振り返るなという言葉は極論で、過去も現在も未来も、使う用途が違うだけのことなのではないでしょうか。

過去の経験を生かし、未来を見据え、現在の行動を選択していくという当たり前のことが、おかしな風に再定義されているように感じています。

全ての焦点を『今』に当て、今が良ければいい、今自分が持っている感情と同じものが引き寄せられる、といった聞きさわりの良い根拠のない刹那的な考えに違和感があったので文章に起こすことにしました。

というわけで、過去もネガティブな発想も排除するべきではないというお話でした。

もちろんそこにもバランスが必要ですけどね。

ではまた。

因みに、アイキャッチ画像はドイツのミュンヘンにあるサッカースタジアムのAllianz Arena

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