僕がまだ10代の頃、ブログなどを作るにあたり利用していたソフトにMT(ムーバブルタイプ)というのがありました。
今でも存在自体はするのでしょうが、MTはもう影を潜めてしまっている。
当時WP(ワードプレス)を使うかMTを使うかといった静かなるCMS戦争なるものが起こっていたように思いますが、個人的にはMTを多用していました。
何が良かったかというと、WPに比べMTにはどこか知的な印象があったのです。
テーマも少なく、便利な外部開発者プラグインなるものがほとんど存在せず、その代わり高度なシステムでその不足分を補っていたのがMTだったのですが、そのせいかMTがバージョンアップする度にアップロードするファイルが増えていました。
(いつかファイル数が倍になるぞ。。)
さて、ここでMTとWPの違いをざっくりお話しすると、
MTとWPの最大の違いは、テーマやプラグインの種類もそうですが、一番はやはりそのコアのシステムにあると言っていいでしょう。
今も昔もワードプレスはデータベースからリクエストされたものを呼び出し表示するダイナミック(動的)な方式でホームページやブログなどを画面上に表示しているのですが、それに対しMTはデータベースに蓄積されたデータを使用してサーバー上にHTMLファイルを生成するという、所謂(いわゆる)静的な方式を採用していました。
静的なページを生み出すことのメリットはなんと言ってもサーバーへの負荷が少ないこと。
一度生み出された実在するHTMLなりPHPなりのファイルは呼び出せば応答するという点で動作が軽かったのです。
データーベースをベースにしてファイルを生成する(再構築)工程に時間を有するものの、大量のアクセスを呼び込むホームページなどでは当時MTが大変に活躍したはずです。
一方デメリットはというと、テーマ全体に関わる微妙な変更を加えた際にも、全てのページを書き換えなければならないという手間があるということ。
ボタンひとつで書き換えすることが出来るのですが、そこに数十分かかるような場合もありサーバーには高負荷がかかっていたはず。
その点WPの良さはその軽快さでしょうか。
動的なシステムを採用しているのでわざわざ実在するファイルを生み出さなくても良いわけです。
ブラウザからURLに飛ぶ度に骨組みを表示して内部のコンテンツなどをデータベースからその都度探す。
昔はサーバーに負荷が掛かっていただろうこの方式も、今ではサーバーの処理能力やインターネットの通信速度も何十倍(ムーアの法則)にもなっているのでそういった問題は解決。
ある時点からMTも動的サイトを使えるようになってはいたのですが、利便性が高く利用ハードルの低いWPに対し個人相手には太刀打ち出来なかった模様。
好みに応じてテーマ、用途に応じてプラグインをインストールするだけで手軽に情報発信することが出来るようになり、CMS戦争はWPの圧勝という形で静かに終わった印象。
とは言え、個人からのニーズは圧倒的にWPに移ってしまいましたが、MTは企業などから厚い信頼があり今でも規模の大きな組織などではMTが大変重宝されている。
オープンソースではない分セキュリティ面での信頼が高く、大量のアクセスに耐える静的な仕組みは組織ならではの使い方ではないでしょうか。
今でもMTの文字を見るとワクワクする自分がいるのですが、例えて言うなら、2000年代初頭にインターネットエクスプローラーを使わずネットスケープを、ヤフーを使わず立ち上がったばかりのグーグルを使用していた気分。
ウィンドウズではなくレッドハットLinuxをインストールしてPCで遊んでいた時代を彷彿とさせるのです。
時々年齢を誤魔化しているでしょ?と言われることがありますが、まだ列記とした36歳。
というわけで、先日MTについて回想することがあったので文章として残しておこうと思ったのでした。
では次の機会に。