そりゃあ、IQ180を誇る人間だって時にはミスをするし、間違ったことを言ったりする。
完全無欠と思しき人類の上位2%の知能を持つ人たちもやはり時には失敗したりもするのです。
今回のテーマとしているアインさんところのシュタイン君だってそう。
例えば
『30歳になるまでに科学に偉大な貢献をしていない人は、以後も決してそれを成し得ることはない』
といった発言がその一つ。
20代で特殊相対性理論、30代で特殊相対性理論に加速度運動や重力を加えた一般相対性理論を発表し、物理学の世界に革命を起こした当時いけいけどんどんだったアインシュタインからすればそういった発言をするのも無理はありません。
ブラウン運動の元になった理論を提唱したのもちょうどこの時期。
確かに、科学や物理での新たな発見にとても重要とも言える発想力やクリエイティビティは、年齢を重ねることで衰えるということが分かっています。
歳を取ることで変化に対応するということが難しくなるのも事実。
しかし、科学や物理学、その他創造性が重要視されるフィールドでも、発想力やクリエイティブ能力が一番大事かというと必ずしもそういうわけでありません。
科学や芸術の世界ではやはり若き天才がもてはやされとても目立つ存在になっており、そうでなければ成功は約束されないのか?といった誤解が蔓延しているように感じますが、物事はそうシンプルには収まらない。
ご存知、GAP。
創業者のドナルドフィッシャーは40歳でお店をオープンし、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースは65歳で起業しています。
ヒッチコックが『北北西に進路を取れ』や『サイコ』を生み出したのは60歳を超えてからです。
前述の科学の面で言うと、ノーベル物理学賞を受賞した、
小柴昌俊氏(76)、南部陽一郎氏(87)、小林誠氏(64)、益川敏英氏(68)
※(ノーベル賞受賞時の年齢)
らはそれぞれ60歳を超えてその功績を讃えられています。
青色発光ダイオードで有名な中村修二氏も40歳を前に高輝度青色LEDを生み出しました。
つまりどういうことかというと、
『30歳になるまでに科学に偉大な貢献をしていない人は、以後も決してそれを成し得ることはない』
というアインシュタインの主張は間違っているということです。
だがしかし
僕の一連のこの主張にも大きな大きな穴がある。
(ぼんじんだもの。ざうを)
アインシュタインが一般相対性理論を完成させた当時、1915年ごろの先進国男女の平均寿命はおよそ50歳前後だったのです。
つまり当時の人間からすると、30歳というのは今よりも大きな節目であったことが考えられます。
平均寿命50歳に対して30歳ということは、感覚と割合でいうと現代の平均寿命80歳に対して48歳くらいということでしょうか?
だとしてもまた同じような疑問が湧いてきます。
そう、50歳を超えて経済的科学的な成功を治めた人たちが現代にはたくさんいるということだ。
アインシュタインの発言を現代の人間社会に置き換えても、やはり少々強硬的すぎた断定だったと言わざるをえません。
さらに、割合ではなく平均寿命から30歳を引き算した残りの20年という視点から見ても、やはりまだ誤りがあることが拭えません。
(80歳 – 20年 = 60歳は上述の通りまだまだ現役でいられる年齢だ)
つまり何が言いたいかというと、
年齢による可能性の限界を作ってしまうのは非常に惜しいということ。
そして、
天才や権威の意見が自分に当てはまるとは言い切れないということです。
と、ここまでが今回僕が言いたかったこと。
その他にもアインシュタインはブラックホールの存在を否定していたり、宇宙は膨張していないと考えていたりと、意外とミスもあったりする。
しかしここで忘れてはいけないのが、
そんなミスを凌駕するほどの科学的功績をたくさん残しているということ。
(そして何より僕はアインシュタインが好きだ。)
特殊相対性理論および一般相対性理論、相対性宇宙論、揺動散逸定理(ブラウン運動の元となった統計力学の定理)、光の粒子と波動の二重性、固体比熱理論、零点エネルギー etc etc etc
と、やはり超が3つも4つもつく天才であり、世界的にも歴史的にも指折りの科学者なのは疑う余地がありません。
さらにアインシュタインは多くの名言も残しており、人々を勇気づける素晴らしい名文句を沢山吐いていたりする。
愛についても然り。
娘に宛てた手紙の中で愛について説いた一節が有名なのはみなさんもご存知のことと思います。
現段階では、科学がその正式な説明を発見していないある極めて強力な力がある。
それは他のすべてを含み、かつ支配する力であり、宇宙で作用しているどんな現象の背後にも存在し、しかも私たちによってまだ特定されていない。
この宇宙的な力は愛だ。
愛は光だ。
愛は引力だ。
愛は力だ。
愛は展開し、開示する。
愛のために私たちは生き、また死ぬ。
愛は神であり、神は愛だ。
部分的に省略
と、愛について深い独自の考察と推論があるようです。
哲学的でもあるし、科学的なアプローチでその答えに至ったようにも思えます。
2500年前には釈迦が「宇宙は全て意識で出来ている」と唯識の世界を説いている。
慈愛に関しても、アインシュタイの主張と共通項があるように思えます。
アインシュタインの大きな功績や研究の原動力はもしかすると『愛』だったのかもしれません。
メルセデスベンツやパナソニックが始まったのも家族の存在があったからです。
奥さん、母親、家族、そしてみんなの助けになりたいという愛ある想いが原動力になったわけです。
つまり、アインシュタインに関しても、愛されるよりアインシュタインだったということでしょうか。
ではまた。